シュルレアリスム

現役美大生が解説!超難解な個性的現代美術・「シュルレアリスム」について

日本におけるシュルレアリスム(1)

日本のシュルレアリスト その1

日本にもシュルレアリストはいたものの、世界のシュルレアリズムに影響されている日本のシュルレアリストはほとんどいないそうですよ。日本独自のシュルレアリスムがあるみたいなので、そちらもご紹介します~!

古賀春江 (こが はるえ)

古賀春江さんは、何を隠そう、男性です(笑)あ、知ってました!?私は最初、女性かと思っていたんですよね(^O^)ぷぷぷ!春江さんっていうのは画家としての名前だそうです。この方は大正時代にシュルレアリスム画家として活動していた方で、日本におけるシュルレアリスムの初期の芸術家さんですね☆

古賀春江の作品

古賀春江さんの作品をはじめて見たのは、大学に入ってからかな。教科書で。シュルレアリスムとはいっても、今までご紹介してきた海外の方とは少しタッチが違って、やわらかい印象をうけた記憶があります(^^)そして、どことなくシュルレアリズムの理念からは反れているような印象も受けますが・・・。この方は、38歳の若さで亡くなっているので、もっと長生きすればもっといろんな作品を手掛けたかもしれないですね。短い芸術家人生の中で、一生懸命に描いた絵画だからこそ、またそこに感銘を受ける私なのでした・・・!!!

水彩画家としての古賀春江の作品

古賀春江は、画家を始めた最初のころは水彩画家だったんです!!画家人生の中で、けっこう作風が変化していってます(^O^)古賀春江は「水彩は長編小説ではなく詩歌だ。」そして、「センチメンタルな情調の象徴詩。」とも言葉を残していて、この言葉を胸に、大きな想いを持って、水彩画家としての歩みを始めた感じを受けますよね。自信に満ちているのがうかがえます。また古賀春江の水彩画作品は、内容がしっかりと組み立てられた絵画で、色味は淡く繊細さが感じられます。とてもハイクオリティなものだと世の中でも評価を受けているんですよ!!

キュビズムを駆使した古賀春江の作品

さて、古賀春江の次の作風は「油彩」になります(^―^)/そして“キュビズム”の理念を感じさせる作品になってきます。キュビズムというのは20世紀の始め頃「パブロ・ピカソ」と「ジョルジュ・ブラック」がはじめた現代美術の流れのことで、今までは絵画の対象物が一つの視点から描かれていたのに対して、キュビズムはいろいろな角度から見た物の形を一つの画面に収める、という技法です。これは、美術を知らない方でも、ピカソの絵を思い出せばイメージ湧いてくるかな?といったところ(^^)

古賀春江「埋葬」

このキュビズムを駆使したのが、古賀春江さんの「埋葬」という作品です。この作品は1922年に二科賞を受賞しています!この「埋葬」は、1920年に実の子供が死産になってしまった際の、古賀春江の深い悲しみによって生み出された作品なんですよ。この我が子の死が、彼の作風を変えさせるきっかけになったんです。埋葬に出てくる多くの人物に、様々な色を駆使しているのが印象的です。様々な色を使ってはいるのですが、全体的には暗く、悲しみが伝わる作品です。ほかにもいくつかキュビズムを駆使した作品がありますけど、どれも自分なりのキュビズムを追求している感じで、初心者でも見やすいな、と思いました(^O^)

古賀春江「海」

「海」は日本ではじめてのシュルレアリスム絵画といわれているものです。1929年に飛行船のツェッペリン号、ドイツの潜水艦、水着を着た陽気な女性、その女性が爪先立ちをして空を指差すポーズ、こういったものをコラージュした作品なんです。ただ、多方面から、この絵にはシュルレアリスムの理念が宿っていないという声が聞かれるんです。「無意識の願望、現実的ではない部分、首を傾げたくなるような奇妙さ」など、この「海」と言う作品にはないと言う感想も多いんです。実は私もそう思っているうちの1人(^^;)この「海」という絵を見ていて、一種の気持ち悪さ、奇妙さ、不安感などは一切感じられず、どことなく趣味の良い昭和のポスターのような、健康的な明るい雰囲気が感じられます。ノスタルジックといった表現も合いそうな作品です。おそらく日本ではシュルレアリスムという解釈が、少々間違ってなされたのでは?と言われています。ただ、美術界では、この絵がシュルレアリスムの始まりといっているので、美大生の私としては勉強上ではそのように受け止めてはいますが・・・(^^;)個人的には、シュルレアリスムに関係なく古賀春江の「海」という作品は好きですし、他にもこの方の作品で心打たれるものはありますけどね~(^^)

福沢一郎(ふくざわいちろう)

福沢一郎もまた、シュルレアリスム絵画を描いていた日本人画家の1人です!!福沢一郎は裕福な家で生まれて、何事もなく、東京帝國大学に進学します。でもそこで彼は、起伏の無い人生に歯がゆさを感じ、大学には殆ど出席しなくなり、彫刻塾に通って彫刻にのめり込みます。そして大学は中退。その後一路パリへと向かった福沢一郎は、そこで絵画のおもしろさにのめりこんでいきます。ある画家の絵画に衝撃を受け、この頃ヨーロッパに栄え始めたシュルレアリスムとの出会いが、彼の人生を大きく変えるんです。何一つ不自由のない家に生まれた福沢一郎なのですが、だからなのか、反骨精神が非常に強くて、シュルレアリスムを「これこそ反逆の芸術だ!」として、その道を歩み始めたそうです。

福沢一郎の作品

福沢一郎

福沢一郎「他人の恋」

日本へ帰ってきた福沢一郎は、何十枚かの作品を世に送り出したようなんですけど「他人の恋」と言う作品もその当時の作品なんです。この「他人の恋」という作品は雑誌や画集の図版を切り貼りして作ったイメージをキャンバスに油絵で描いています。同時期の他の作品と同様に、お互いの関連性を全く無視して配置されたような印象をうけます。ただ、何かストーリーのようなものが現れてくるという感じもどことなくするので、どこまでシュルレアリスムを取り入れているのか、すこし曖昧ではあるな~と個人的には思っています。

福沢一郎「よき料理人」

この「よき料理人」という絵も、シュルレアリスムの絵画になります。この絵には姿をみせないふたりの登場人物がいます。ひとりは両手にナイフをもっています。もうひとりは右側から手を伸ばして洋梨の芯にマッチで火をつけようとしています。何で洋梨に火をつける??爆弾??どちらも意味不明で不安感があおられる気がします・・・。本来はテーブルにあるべきものではないイスがテーブルに乗っていて、男性の前にあるコップの中には、アルファベットが入っているのか、コップに描かれているのか・・・。とにかく奇妙な感じを受けます。「他人の恋」よりシュルレアリスムの流れが強い作品だと思います!!そして、結局、何を言いたいのかはわからない作品であることは確かです。